根管治療について
根管治療(歯内療法)とは
根管治療は、虫歯が重症化した場合などに行う治療法です。歯の中を通る根管(血管や神経などの通り道)から、虫歯に汚染されている部分を除去し、内部をキレイに洗浄・消毒してから薬剤を詰め、被せ物をする処置を施します。
歯の根の中はとても複雑な形状をしており、根の数や長さも人により異なります。また、少しでも根管内に細菌が残ってしまえば、再発してしまう可能性もあります。そのため、根管治療は非常に高い精度が求められる治療と言えます。
安全性と精度にこだわった根管治療をご提供します
ラバーダム防湿
まず根管治療の成功において重要なポイントが、「無菌処置の徹底」です。ラバーダム防湿とは、治療の際に歯にラバーダムというゴムのシートを掛けることで、術野に唾液や医療器具等が入り込むのを防ぐものです。
ラバーダムはアメリカでは一般的に使用されている医療器具ですが、日本の歯科医院ではラバーダム防湿を行っていないところも多くあり、その点がアメリカと比べて日本の根管治療の成功率が低い原因の1つとも言われています。
当院では、ラバーダムを用いて無菌処置に努めた根管治療を行うことで、精度の高い根管治療につなげています。
ニッケルチタンファイル(Ni-Tiファイル)
根管治療では、感染源を取り除く際に「ファイル」という専用の医療器具を用います。従来の歯科医療では、ステンレス製のファイルが使用されてきました。しかし、複雑に入り組んでいる根管内では、柔軟性に乏しいステンレスファイルでは汚れを適切に除去しきることは難しく、根管内の組織を傷つけてしまう危険性もあります。
そこで当院では、近年、世界的にもスタンダードとなりつつある「ニッケルチタンファイル」を導入しています。ニッケルチタンファイルは、非常にしなやかな柔軟性を持ち、従来のステンレスファイルの欠点を解消してくれる医療器具です。当院では、可能なかぎり患者様の大切な歯を残すために、先進の医療技術を駆使し、より安全性と精度の高い根管治療をご提供いたします。
根管治療は、信頼できる歯医者で最後まで受けきりましょう
根管治療を施しても、もし歯根の中に細菌が残っていたり、歯根と被せ物の境目から虫歯が再発してしまえば、再び治療をする必要が出てきます。さらに、再治療の成功率は低くなり、治療期間や費用もかさんでしまうため、根管治療は「最初の治療をしっかりと行う」ことが重要です。
また、根管治療は「歯の基礎工事」ともいわれる治療です。基礎となる部分の治療が適切にできていなければ、その上にどんなに立派な被せ物を着けたとしても長く持つことはないでしょう。
根管治療を受ける際には、技術と実績を持つ信頼できる歯科医院を選び、治療後の検査やメインテナンスも含めて、最後までしっかりと受けきることを強くおすすめします。治療に関して不安や疑問がありましたら、まずは一度当院へご相談ください。
根管治療の流れ
根管の拡大・清掃
拡大鏡を用いて根管内を拡大して感染部位を確認します。清掃にはリーマー(ファイル)という専用の器具を使用し、感染部位の取り残しがないように根の先まで徹底して除去します。
根管内の洗浄・消毒
シリンジで根管の洗浄を行い、また感染部位が大きい場合には超音波洗浄器を併用しながら洗浄します。数回繰り返すことで細菌のいない状態をつくりだします。
根管充填
細菌が治療箇所に再び侵入しないよう、密閉性の高い詰め物で緊密に根管内を充填して処置は完了です。
歯冠補綴
歯冠補綴はきれいにした歯の内部に汚れが入るのを防ぐ「蓋」の役割を果たしています。
歯冠補綴が歯にぴったりあっているほど、歯の内部に汚れは入り込まず結果、根管治療した歯の健康を長持ちさせることができます。
経過観察・メインテナンス
治療した歯の経過観察と予防メインテナンス期間へと移行します。治療後は定期的な検診を通じて、責任を持ってサポートさせていただきます。
根管治療後の痛みについて
根管治療は麻酔処置を施してから行うため、治療中に痛みを伴うことはほぼありません。ただし、歯の根の中の組織に触れる治療ですので、治療後にはしばらく痛みや違和感がある場合があります。痛みの度合いや期間については、感染や炎症の進行度合いにもよって個人差はありますが、通常では根管が無菌的になっていれば一週間ほどでおさまることがほとんどです。
根管治療の予後について
歯の根の中は非常に細く複雑な構造をしていますので、確実に治して再発を防ぐためには、治療後も数回にわたり通院して検査を行う必要があります。
根管治療を受けられた患者様の中には、「もう痛くないから」といった理由から、治療後の検査やメインテナンスを怠ってしまう方がいらっしゃいますが、結果として再発に至るケースも少なくありません。
根管治療は「大切な歯を残すための治療」であり、また根管治療が必要な状態は、抜歯になるかどうかの瀬戸際であるとも言えます。治療後の検査やメインテナンスを最後までしっかりと受けきることで、ご自身の大切な歯を守っていきましょう。